外壁工事 通気胴縁(外壁通気工法)
住宅には家の中と外の温度を調整する為の断熱材という材料が使用されています。
神社仏閣を見ると軒先が約1.5m程度張り出していて、雨が降っても外壁にかからないようになっています。
壁は大半が土壁で、防水性を高めるためにその上に白色の漆喰を塗っていたりします。
適切なメンテナンスを行えば、何百年と持ちこたえることができます。
しかし、神社仏閣とは違い土地の広さにも制限が多い都市部の住宅密集地の一般住宅では、軒先の長い家を建てて
しまうと、隣家の屋根にぶつかったり、屋根が越境してしまいます。
そうしたことから自然と軒先が短くなり、雨が吹き付けやすくなってしまうで、土壁のような外壁も少なくなって
きています。そうした土壁のような外壁材にかわり、木の板を下から重ねて貼っていく、下見張りの木の外壁が
普及してきて、それが今のサイディング壁の元となりました。
内断熱工法で断熱性能を高めれば高める程、家の中と外の温度差が広がってしまい、その結果、壁内結露がでて
壁の中の木材が腐ったり、カビが繁殖してしまい、家の老朽化を早めてしまいます。
この状態を改善するために、壁内の湿気を外部に放出する手段として外壁通気工法(※1)が開発されました。
この工法は簡単にいうと、透湿防水シートで壁を覆い、外壁材との間に外気が流れる層をつくることによって、
壁内の湿度を透湿防水シートから通気層を通して外部に放出する工法です。
この工法で壁内結露を少なくし、建物の老朽化を防ぎ、建物の耐久性を向上させています。
※1
★外壁通気工法の詳細
サイディング等の乾式工法(仕上げや下地にモルタルや土壁等の水を含んだ材料を使用せずに工場で生産された
合板等を現場で取り付ける工法のこと)の外壁工事に用いられることが一般的です。
外壁の下と上に空気が通る層(通気層)を設け、壁内の水蒸気を逃がしやすい透湿防水シートを貼り、壁内の空気
が流れるようにする工法です。空気の入口としてサイディングの最も下面に隙間が空けられます。
建物と外壁の間に空間を作り、通気をさせることで、建物構造材等を長持ちさせることができます。
一般的には、建物の柱の外側に防湿材を張って、胴縁や貫等の木下地を一定の間隔で張り付けることで空間を
つくり、その上に外壁仕上げ材を張りつけます。柱と外壁の間に一定の空間ができるので、室内から発生した
湿気を通気層に流し、逃がしやすくすることができます。
内部で行き場のない湿気をうまく逃がすことができるので、湿気によるカビの発生を抑えることができます。
さらに外部から入ってきた湿気や水分は、この空気層により内部に浸み込んでいくことを避けることができます。
そのため、台風などの雨風が強いことがあっても、雨漏りのしにくい建物にすることができます。
この工法が採用されたのは、北海道が最初と言われています。
2000年代にサイディングが普及しはじめたこともあり、急速に広まった工法です。
空気層をつくることで、建物が寒くなるとの見解もあるそうですが、建物内部の断熱がしっかりされていれば、
特に問題はないといわれており、逆に空気層により建物内部の温度調整がうまくいきやすいので、充填した断熱材
の持ちも長くなると言われています。
建物外壁工事 胴縁の施工
透湿防水シート施工後に胴縁を施工していきます。
通気胴縁で通気層を確保することができるので、外壁内部を空気が流れることができて壁内結露を抑制することが
できます。胴縁は縦方向に施工する縦胴縁と横方向に施工する横胴縁があり、サイディングを横方向に貼るならば
縦胴縁、サイディングを縦方向に貼るならば横胴縁とします。「嘉山の家」は縦胴縁です。
胴縁の厚みがある分だけ透湿防水シートとサイディングの間に通気層を設けることができるのですが、胴縁が長いと
空気の流れに影響するため、1本の長さを1800mm前後とするのが一般的です。
また、窓枠サッシ周りの胴縁はサッシ枠との間を30mmあけることで、空気の通り道を確保します。
また、胴縁と胴縁の間隔は通常455mmとなっています。
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